GA4の管理画面を見るのは、もうやめなさい。Googleが隠したがる「BigQuery」で、顧客のLTVを予言する技術 -「昨日の売上」ではなく「明日の優良顧客」を見つける。PythonとSQLで構築する、月額無料からのデータ分析基盤

AI参謀 GA

「GA4(Googleアナリティクス4)になってから、データが見にくくなった」
「GA4でもっと詳しくデータを見たい」
「データ分析はどうしていいのかわからない」
こんな悩みはない?

多くのマーケターや経営者が、この悩みを抱えています。
しかし、これはGoogleの意地悪ではありません。「管理画面(UI)で見るのは、もう卒業しなさい」というメッセージ。

八百屋の経営に例えてみましょう。 GA4の管理画面を見ている状態は、「昨日のレジのレシートを一枚一枚めくっている」のと同じです。「昨日は大根が10本売れた」という過去の事実しか分かりません。

しかし、本当に繁盛している店主は、レシートではなく**「顧客台帳(生データ)」**を見ています。 「佐藤さんは昨日大根を買ったから、来週は白菜を買いに来るはずだ」 「田中さんは最近来ていないから、クーポンを送ろう」

このように、過去の集計ではなく「未来の行動」を予言するために必要なのが、Googleが提供するデータウェアハウス、「BigQuery(ビッグクエリ)」です。

本記事では、GA4のデータをBigQueryに流し込み、AmazonやNetflixのような「予言するデータ分析基盤」を、ほぼ無料で構築する方法を解説します。


目次

第1章:なぜ「管理画面」ではダメなのか?

GA4の標準レポートには、決定的な弱点があります。それは「データが丸められている(サンプリング/しきい値)」ことです。

プライバシー保護の観点から、アクセス数が少ないデータは「身元が特定される可能性がある」として、Googleが勝手に隠してしまいます。これでは、中小企業のニッチな商品の分析や、特定ユーザーの追跡(行動ログ分析)は不可能です。

BigQueryなら「生(Raw)」で見れる

BigQuery連携を行うと、GA4が計測した1つ1つのアクセスログ(生データ)が、そのままデータベースに格納されます。 そこには「しきい値」も「サンプリング」もありません。

  • GA4画面: 「30代男性が約100人来ました」
  • BigQuery(データとの結合): 「ユーザーID:12345の人が、1月27日18:00にトップページを見て、18:05に商品をカートに入れ、18:10に離脱しました」

この「解像度」の違いこそが、ビジネスの勝敗を分けます。 「なんとなくのお客様」を見るのか、「一人の人間」を見るのか。八百屋なら後者を選びますよね?


第2章:データを「溜める」だけで終わらせない

「BigQueryに連携したけど、SQL(データベース言語)が書けないから放置している」という企業も多いですが、これは宝の持ち腐れです。

ここでやるべきは、「Webのデータ(GA4)」と「リアルのデータ(売上/CRM)」の結合です。 これこそが、O2O(Online to Offline)マーケティングの要です。

八百屋(Cxxx)の例で言えば:

  1. Web行動 (GA4): サイトで「高級メロン」のページを3回見た。(でも、まだ買っていない)
  2. リアル購買 (POS): 過去に店舗で「贈答用の箱」を買った履歴がある。

この2つをBigQuery上で紐付ける(JOINする)と、以下のような推論が成り立ちます。

「この人は自分用ではなく、今週末にお歳暮用のメロンを探している可能性が90%。すぐに『贈答用ラッピング無料』のクーポンを表示せよ」

GA4単体では、彼が「メロンを見ている人」であることしか分かりません。
リアルのデータを繋げることで初めて、「文脈(コンテキスト)」が見えてくるのです。


第3章:LTV(顧客生涯価値)を予言する

データを統合できれば、次はAI(機械学習)の出番です。 「AI分析」というと難しそうですが、Google Cloudには BigQuery ML という機能があり、SQLを書くだけで簡単に未来予測モデルを作ることができます

できること:未来の予言

  • 解約予測 (Churn Prediction): 「この動き(アクセス頻度の低下+価格ページの閲覧)をしているユーザーは、来月70%の確率で解約する」 → 先手を打って「継続割引オファー」を送る
  • LTV予測 (LTV Prediction): 「この初回購入者は、購入額は低いが、行動パターンが優良顧客に似ている。将来的に10万円使うファンになる」 → 広告費をかけてでも囲い込む

「昨日の売上」を集計するのはExcelで十分です。
私たちがやるべきは、「明日の売上」を作るための**アクション(予言)**です。


第4章:コストは「コーヒー1杯分」

「そんな高度なシステム、大企業しか使えない高いやつでしょう?」 いいえ。Google Cloudの料金体系は、中小企業に非常に優しく設計されています。

  • GA4からのデータ転送: 無料
  • データの保存: 毎月10GBまで無料
  • データの分析(クエリ): 毎月1TBまで無料

※2026年1月27日現在では、上記のような料金体系に。
※詳しくは、GoogleCloudのBigQueryを参照してね。

よほどの大規模サイトでない限り、実質0円で運用を開始できます。 「難しそう」という理由だけで食わず嫌いをするには、あまりにもメリットが大きすぎます。


まとめ:データは「見る」ものではなく「使う」もの

GA4の管理画面を開いて、グラフの上がり下がりに一喜一憂するのは、もう終わりにしましょう。 それは「天気を眺めている」のと同じで、ビジネスを動かしてはいません。

  1. BigQueryに生データを溜める。
  2. 顧客IDで、Webとリアルのデータを繋ぐ。
  3. AIで未来を予測し、SENDO(動的LP)で出し分ける。

これが、データを「資産」に変える唯一の方法です。

次回は、このBigQueryに溜まったデータに対して、「社長、儲かってる?」と日本語で聞くだけで分析してくれる『AI番頭』の作り方を解説します。お楽しみに。


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記事を書いた人

AI参謀GAくん | じーえーくん
tech leadかねやん | 金岡潤
+α

「システムも野菜も、鮮度が命。」
元メガ企業のSEとして、大規模サービスのバックエンド開発・アーキテクチャ設計に従事。その後、福岡に移住し起業。「八百屋」を地域No1にするという異色の経歴を持つ。 現在はBig Tech企業のモダンな開発手法(ベクトル検索、GraphRAG、エージェント技術など)を、地方企業や中小ビジネスの現場に落とし込むDX支援を行っている。 技術の複雑さを感じさせない設計、ビジネスの成果(CX)に直結させる「翻訳者」としてテックリードを担っている。

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