「DXのために、ダッシュボードを作りました! 毎日見てください!」
って部下に言われたけど・・・
次の一手が欲しいんだけどな・・・って思ってない?
安心してください。それはあなたが怠慢なわけではありません。
「人間は、数字の羅列を見るようにはできていない」というだけです。
八百屋の経営で例えましょう。
昔の優れた経営者は、帳簿(データベース)を自分でめくったりしませんでした。
優秀な「番頭(Banto)さん」がいて、旦那さんが「おい、今日の商いはどうだい?」と聞けば、「へい。雨でしたが大根がよう売れまして、昨対で1割増です」と言葉で教えてくれたのです。
現代のDXに欠けているのは、この「番頭さん」です。
綺麗なグラフ(BIツール)はありますが、そこから意味を読み取るのは社長の仕事になってしまっています。これでは続きません。
しかし今、生成AI(LLM)の進化により、この「AI番頭」を月額ほぼ0円で雇える時代が来ました。
使う技術は、Googleの「Gemini」と「BigQuery」です。
本記事では、SQL(データベース言語)を一切覚えず、日本語のチャットだけで経営判断を下す、究極のデータ活用術を解説します。
第1章:「見る」分析から「話す」分析へ
従来のデータ分析は、以下のような手順が必要でした。
- データアナリストに依頼する。
- SQLでデータを抽出する。
- ExcelやLooker Studioでグラフにする。
- 社長がグラフを見て、変化に気づく。
今回は、この「4」が最大のボトルネックとします。
経営判断さえも、属人的なもの。それを標準化し、経営判断をより判断しやすく、料理されたものを見れるようにすること。
なぜなら、
グラフを見て「あ、ここが下がっているな」と気づくには、スキルと根気が必要です。
それに、
どのグラフとどのグラフを見たら、どう結果として感じるのかさえ、経験と勘が必要だから。
Text-to-SQL(テキストからSQLへ)
しかし、最新のAI技術「Text-to-SQL」を使えば、このプロセスは劇的に短縮されます。
- 社長: 「昨日のランチ、何が一番売れた?」とLINEで送る。
- AI: 質問を理解し、一瞬でSQLコード(
SELECT item_name, SUM(price)...)を書く。 - BigQuery: データベースから正確な数字を引っこ抜く。
- AI: 「アジフライ定食が25食でトップでした。先週より増えています」と返信する。
社長は「日本語で聞く」だけ。 その秘書的な翻訳をAIがやってくれます。
エンジニアも、ダッシュボードも挟みません。これこそが、中小企業が目指すべきDXの終着点です。
第2章:Googleの「Data Canvas」という魔法
「そんなシステム、開発に数千万円かかるのでは?」
いいえ、Google Cloudを使っているなら、すでに「Gemini in BigQuery (Data Canvas)」という機能が用意されています。
これは、BigQueryの画面上でAIとチャットができる機能です。
例えば、画面に向かってこう入力するだけです。
「過去1年間のデータで、雨の日に売上が下がる商品をリストアップして、棒グラフで表示して」
すると、AIが裏側で膨大な計算を行い、数秒で答えを可視化してくれます。 プロのデータサイエンティストが1時間かけてやる作業が、30秒で終わります。
第3章:AI番頭は「理由」まで語る
単に数字を出すだけなら、従来のシステムと変わりません。 今のLLM(大規模言語モデル)の真骨頂は、「文脈(コンテキスト)」の理解にあります。
もし、売上が下がっていたとしましょう。
従来のダッシュボードは、赤い文字で「▼10%」と表示するだけです。社長はそれを見て「なんでだ!?なんで下がっているのか?」とイライラします。
しかし、AI番頭(Gemini)に天気データや近隣イベント情報を読ませておけば、こう答えます。
「昨日は売上が10%落ちました。ただ、台風の接近でエリア全体の客足が30%落ちていたことを考慮すると、当店は健闘しています。特に『雨の日クーポン』を使ったGoogleマップ経由のお客様が支えになりました」
数字だけでなく、「外部要因」や「理由」まで添えて報告する。 ここまでできて初めて、社長は「よし、じゃあ今日はこれをしよう」と次のアクションに移れるのです。
第4章:コストは「人件費」と比較せよ
この仕組みを導入するコストはどれくらいでしょうか?
BigQueryとGeminiのAPI利用料は、中小企業のデータ規模であれば月額数千円〜数万円レベルです。
一方で、
- 毎日レポートを作る社員の残業代
- データ分析官を雇う採用コスト(年収600万円〜)
- 判断が遅れて在庫を腐らせる損失
これらを考えれば、AI番頭のコストは「誤差」と言えます。
文句も言わず、24時間365日、瞬時に答えをくれる右腕。雇わない手はありません。
まとめ:データは「対話」して初めて価値になる
「今月の売上は?」と聞かれて、黙ってExcelのファイルを渡してくる部下はいませんよね? それなのに、なぜ社内システムにはそれを許しているのでしょうか。
本来は、データは「見る」ものではなく、「対話」するものです。
- BigQueryにデータを集める(前回の記事参照)。
- Gemini(LLM)を接続する。
- チャットツール(LINE/Slack)から日本語で聞けるようにする。
CxxxPJでは、この「AI番頭システム」の構築支援も行っています。 SQLなんて覚える必要はありません。「儲かってる?」の一言から、データ経営を始めましょう。
👇 【基礎】まずはデータがないと始まらない
:::info 【戦略】GA4の管理画面を見るのはやめなさい(前回の記事)
AI番頭を作るには、元となる「生データ」が必要です。 GA4のデータをBigQueryに流し込み、AI活用の土台を作るための完全ガイド。
:::
👇 【応用】AIが見つけた「正解」をWebに反映する
:::info 【実装】AIの分析結果で、LPを自動で書き換える
「雨の日はアジフライが売れる」とAIが分析したら、Webサイトのトップ画像も自動でアジフライに変えませんか? AWSを使った自動パーソナライズの実装論。
:::
記事を書いた人


AI参謀GAくん | じーえーくん
tech leadかねやん | 金岡潤
+α
「システムも野菜も、鮮度が命。」
元メガ企業のSEとして、大規模サービスのバックエンド開発・アーキテクチャ設計に従事。その後、福岡に移住し起業。「八百屋」を地域No1にするという異色の経歴を持つ。 現在はBig Tech企業のモダンな開発手法(ベクトル検索、GraphRAG、エージェント技術など)を、地方企業や中小ビジネスの現場に落とし込むDX支援を行っている。 技術の複雑さを感じさせない設計、ビジネスの成果(CX)に直結させる「翻訳者」としてテックリードを担っている。


コメント
コメント一覧 (1件)
[…] […]