【完全保存版】PMとエンジニアが共有すべき「GA4イベント設計書」。UX改善のためのカスタム実装リスト

「PV(ページビュー)は増えた。でも、なぜかCVR(成約率)が上がらない」

Google Analytics 4 (GA4) を導入したものの、ダッシュボードに並ぶ数字を見て、そう頭を抱えているPMやマーケターは少なくありません。

「滞在時間」や「スクロール率」といった標準指標だけでは、**「ユーザーがどこで怒り、どこで諦めたか」**という心の動きまでは見えないからです。

ユーザー体験(UX)を改善し、売上を伸ばすために必要なのは、デフォルトの計測設定ではありません。

ビジネス(PM)と技術(エンジニア)が共通言語として会話できる、
**「戦略的なカスタムイベント設計」**です。

本記事では、ユーザーの「つまづき(Friction)」を可視化し、システムログと連携して原因を特定するための**「GA4イベント設計図」**を公開します。

そのまま実装指示書として使えるレベルにまとめていますので、ぜひブックマークしてご活用ください。


目次

1. 戦略:GA4とDBを繋ぐ「Trace ID」の魔法

個別のイベント定義に入る前に、最も重要な「仕掛け」について解説します。

GA4の弱点は「個人や個別のエラー原因を特定できないこと」です。これを解決するために、バックエンドのログ基盤とGA4を一本の線で繋ぎます。

カスタムディメンション設定

以下のパラメータを、すべてのイベントに付与(またはユーザープロパティとして設定)します。

パラメータ名値の例役割・目的
trace_idreq_abc12345★最重要
リクエスト毎に発行する一意なID。GA4で異常を見つけた際、このIDを使ってDynamoDBなどのログ基盤を検索し、詳細な原因を特定します。
user_rankvip, guestセグメント分析
「VIP会員だけエラーが多い(特定の機能を使っているため)」といった傾向を発見します。
app_versionv2.5.0リリース監視
「新バージョンリリース直後にエラーが急増していないか」を監視します。

trace_id を使った詳細ログ基盤(AWS SQS/DynamoDB)の構築方法については、こちらの技術記事(リンク設置予定)で詳しく解説しています。


2. 実装リスト①:ユーザーの「イライラ」を検知する (UX Friction)

PMが最も注視すべき指標です。ユーザーがサイト内で「迷い」「怒り」「諦め」を感じた瞬間をトリガーします。

📌 form_validation_error (入力エラー)

フォームでの離脱原因を特定します。「必須項目漏れ」なのか「入力形式ミス」なのかを可視化します。

  • 発火タイミング: 入力フォームでバリデーションエラーが表示された瞬間
  • パラメータ:
    • field_name: エラーが出た項目 (例: email, password)
    • error_msg: エラーメッセージ (例: invalid_format)
  • 分析アクション: 特定の項目のエラー率が高い場合、入力例(プレースホルダー)の改善や、自動補正ロジックの導入を検討します。

📌 rage_click (レイジクリック / 連打)

ユーザーの「苛立ち」を計測します。

  • 発火タイミング: 短時間(例: 1秒以内)に同じ要素を3回以上クリックした時
  • パラメータ:
    • element_id: クリックされたボタンや画像のID
    • click_count: クリック回数
  • 分析アクション: 反応しないボタン、ローディングが表示されず処理中かわからないボタンを改修します。

📌 search_no_result (検索結果ゼロ)

機会損失を計測します。

  • 発火タイミング: サイト内検索の結果が「0件」だった時
  • パラメータ:
    • search_term: 検索されたキーワード
    • category_filter: 絞り込み条件
  • 分析アクション: ユーザーが求めているのに在庫がない商品や、「表記揺れ(iphone / アイフォン)」でヒットしていないキーワードを特定し、在庫拡充や検索ロジック改善に繋げます。

3. 実装リスト②:システムの「健康状態」を検知する (Tech Health)

アーキテクトやテックリードがPMに報告するための指標です。「画面は表示されているが、裏で壊れている」状態を発見します。

📌 api_failure (API通信エラー)

フロントエンドからバックエンドへの通信失敗を計測します。

  • 発火タイミング: APIレスポンスが 400系 / 500系 だった時
  • パラメータ:
    • endpoint: APIのパス (例: /api/v1/checkout)
    • status_code: HTTPステータス (例: 500)
    • response_time_ms: 応答時間
  • 分析アクション: 「カート追加」ボタンを押しても何も起きない(裏で500エラー)などのサイレントキルを検知し、即座に修正します。

📌 core_web_vitals (表示速度)

GoogleのSEO評価および、ユーザーの体感速度を計測します。

  • 発火タイミング: ページ読み込み完了時(Web Vitalsライブラリ等を使用)
  • パラメータ:
    • metric_name: 指標名 (LCP, CLS, FID)
    • value: スコアまたは秒数
    • network_type: 通信環境 (4g, wifi)
  • 分析アクション: 表示速度が3秒を超えるセッションのCVRがいかに低いかを可視化し、パフォーマンス改善(画像の軽量化、Next.js最適化など)の投資判断に使います。

4. 実装リスト③:購買行動の「迷い」を検知する (Funnel)

ECサイトやSaaSにおいて、最も重要な「カゴ落ち(Cart Abandonment)」の真因を探ります。

📌 remove_from_cart (カート削除)

「買うのをやめた」理由を推測します。

  • 発火タイミング: カートから商品を削除した時
  • パラメータ:
    • item_id: 商品ID
    • price: 金額
  • 分析アクション: カート追加後に削除される率が高い商品は、「送料が高い」「説明不足で不安になった」などの可能性があります。

📌 checkout_option_change (決済・配送変更)

決済フローでの迷いを計測します。

  • 発火タイミング: 決済方法や配送方法を変更した時
  • パラメータ:
    • from_option: 変更前 (例: credit_card)
    • to_option: 変更後 (例: convenience_store)
  • 分析アクション: クレジットカード入力後にコンビニ払いに変更している場合、「カードエラーが発生した」または「セキュリティに不安を感じた」可能性があります。

5. 運用:このデータをどう定例会議で使うか?

これらのイベントを実装するだけでは意味がありません。

週次の定例ミーティング(PM × エンジニア)で、以下のように活用してください。

  1. PMの観測 (GA4):「今週、checkout 画面での api_failure イベントが前週比 150% に増えている。特にiOSユーザーが多い」
  2. エンジニアの調査 (Trace ID):「GA4から抽出したエラーの trace_id を使い、DynamoDBのログを確認します……特定しました。iOSの特定のバージョンで、日付選択コンポーネントがバグっています」
  3. アクション:「影響範囲は売上の約5%です。明日緊急リリースします」

まとめると、データは「共通言語」になる

「感覚」で語り合うのはやめましょう。

「なんとなく使いにくい」ではなく、**「rage_click が商品詳細ページで300回発生している」**と語り合うことで、チームは初めて「事実」に向き合うことができます。

この設計書をベースに、あなたのプロダクトに合わせてカスタマイズし、「ユーザーの痛み」に即座に反応できる強いチームを作ってください。


👇 【あわせて読みたい】「異常」を見つけた後、どう調査する?

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👉 記事を読む:次世代アーキテクトのキャリア論


👉 記事を書いた人

AI参謀GAくん | じーえーくん
tech leadかねやん | 金岡潤
+α

「システムも野菜も、鮮度が命。」
元メガ企業のSEとして、大規模サービスのバックエンド開発・アーキテクチャ設計に従事。その後、福岡に移住し起業。「八百屋」を地域No1にするという異色の経歴を持つ。 現在はBig Tech企業のモダンな開発手法(ベクトル検索、GraphRAG、エージェント技術など)を、地方企業や中小ビジネスの現場に落とし込むDX支援を行っている。 技術の複雑さを感じさせない設計、ビジネスの成果(CX)に直結させる「翻訳者」としてテックリードを担っている。

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