「Netflixのような、カッコいいUIのサイトを作ってくれ」と的外れな発言してない?
そんな危険な賭けはやめて、稼げる羅針盤で最適化を
なぜなら、NetflixのUIは「カッコいいから」あの形なのではなく、「Netflixのビジネスモデル(稼ぎ方)に特化させた結果」あの形になったからです。
動画配信サービスといっても、各社それぞれ「稼ぎ方」が全く異なります。
- Amazon Prime Video: 買い物ついでに見てほしい(ECへの誘導)。
- YouTube: ダラダラと長時間見てほしい(広告在庫の消化)。
- TikTok: 思考停止で中毒になってほしい(ドーパミン)。
家を建てる時に、住む人のライフスタイルを無視して「隣の家と同じ間取り」にする人はいません。
Webサービスも同じです。「自社のビジネスモデル」が決まらない限り、「UI」は決まらないのです。
本記事では、世界を支配する5大動画プラットフォームのUIを「店舗設計のUXコンセプト」になぞらえて解説します。
あなたのサービスは、どの店を真似るべきでしょうか?
1. Netflix型:高級料亭「おまかせコース」
UXコンセプト
「座っていれば、最高の一皿が勝手に出てくる」
UIの特徴
- 検索させない: 検索ボタンは控えめ。
- 勝手に始まる: トップページを開くと、予告編が自動再生される。
- サムネイルの魔術: ユーザーの好みに合わせて、同じ作品でも画像を変える。
戦略とビジネスモデル
Netflixのビジネスは「サブスクリプション(月額課金)」です。
彼らが最も恐れているのは、ユーザーが「見るものがないな」と迷い、「選ぶことに疲れて(Decision Fatigue)」アプリを閉じてしまうことです。
だから、彼らはユーザーに「選ばせません」。
「あなたはこれが好きですよね?」と自信満々に提案し、思考の隙を与えずに再生を開始させます。
✅ この型を模倣すべきビジネス:
- 教材・eラーニング: カリキュラムが決まっているもの。
- リラックス・暇つぶし: ユーザーが受動的な状態で使うサービス。
2. Amazon型:巨大スーパー「デパート」
UXコンセプト
「目的の商品を探せるし、ついで買いも誘う」
UIの特徴
- 検索バーが主役: 画面上部に巨大な検索窓がある。
- カオスな陳列: 「無料(Prime)」の横に、さらっと「有料(レンタル)」や「チャンネル登録」が並んでいる。
- レビュー: 星評価やレビュー数が目立つ。
戦略とビジネスモデル
Amazonの正体は「EC(小売)」です。
動画はあくまで集客装置であり、最終的には「有料レンタル」や「原作本の購入」、あるいは「日用品の買い物」へ誘導したいという意図があります。
だから、彼らは**「能動的な探索」を促します。
「アンパンマン」で検索した親に、「プライム会員なら無料ですが、最新作は400円です」と提案する。このクロスセル(合わせ売り)こそがAmazonの真骨頂です。
✅ この型を模倣すべきビジネス:
- ECサイト: 商品点数が多く、検索が必要なもの。
- マッチングサービス: ユーザーが条件を指定して探すもの。
3. Disney+型:世界観に浸る「テーマパーク」
UXコンセプト
「ゲートをくぐれば、そこは魔法の国」
UIの特徴
- ブランドボタン: トップページに「Disney」「Pixar」「Marvel」「Star Wars」という巨大なブランドロゴ(ハブ)が鎮座している。
- 機能より情緒: アニメーションや背景画像がリッチで、没入感を重視。
戦略とビジネスモデル
Disneyのビジネスは「IP(知的財産)ファンクラブ」です。
個別の作品を見せること以上に、「ブランドそのものを愛してもらうこと」が目的です。
ユーザーは「面白い映画」を探しているのではなく、「マーベルの世界に行きたい」と思ってアプリを開きます。
だから、機能性(探しやすさ)を多少犠牲にしてでも、世界観への没入(Immersion)を最優先に設計しています。
✅ この型を模倣すべきビジネス:
- ブランドサイト: メーカー、アパレル、高級車。
- ファンクラブ: 特定のアーティストやキャラクターを推すサービス。
4. YouTube型:巨大広場「図書館&井戸端」
UXコンセプト
「終わらないお喋りと、知識の底なし沼」
UIの特徴
- 関連動画: 再生画面の横(下)に、無限に関連動画が出てくる。
- コメント欄: 動画と同じくらい、コメント欄の存在感が大きい。
- 画質のバラつき: プロの映像も素人の映像もごちゃ混ぜ。
戦略とビジネスモデル
YouTubeのビジネスは「広告モデル」です。
彼らにとっての正義は、1秒でも長くサイトに留まらせること(滞在時間)です。
だから、彼らは「沼」を作ります。1つの動画を見終わったら、即座に「あなたが好きそうな次の動画」を出し、「やめ時」を失わせます。
また、コメント欄で議論させることで、動画視聴以上の時間を消費させます。
✅ この型を模倣すべきビジネス:
- CGM(口コミサイト): ユーザー投稿型メディア。
- ニュース・情報メディア: 記事を次々と読ませたいサービス。
5. TikTok型:スロットマシン「カジノ」
UXコンセプト
「思考停止の快楽と、ドーパミン」
UIの特徴
- 全画面: UIパーツ(ボタンなど)を極限まで排除。
- スワイプのみ: 「選ぶ」動作すらない。指一本で次へ。
- 即時再生: タイトルすら読ませず、0.1秒でサビ(一番盛り上がる所)が始まる。
戦略とビジネスモデル
TikTokの正体は「アテンション(注意)・エコノミー」の怪物です。
スロットマシンのレバーを引くように、ユーザーにスワイプさせ、ランダムな報酬(面白い動画)を与えて脳を中毒状態(ドーパミン漬け)にします。
これは「動画を見る」というよりは、「情報を浴びる」体験です。
現代のZ世代に向けたエンタメ(例えばアイドルの推し活など)において、これ以上のUIは存在しません。
✅ この型を模倣すべきビジネス:
- エンタメ・推し活: 理屈抜きで感情を揺さぶるもの。
- 発見型コマース: 「なんとなく見ていたら欲しくなった」を狙うもの。
まとめ:あなたのビジネスは「検索」か?「中毒」か?
5つのプラットフォームを比較すると、UIとはデザイナーのセンスではなく、「経営戦略の写し鏡」であることが分かります。
| プラットフォーム | ユーザー心理 | キーワード | 店舗メタファー |
| Netflix | 「決めてほしい」 | 安心・受動 | 高級料亭 |
| Amazon | 「探したい」 | 実利・能動 | 巨大スーパー |
| Disney+ | 「浸りたい」 | 愛着・没入 | テーマパーク |
| YouTube | 「繋がりたい」 | 共感・滞在 | 広場・図書館 |
| TikTok | 「感じたい」 | 快楽・中毒 | カジノ |
「流行っているから」という理由でUIを選ばないでください。
「お客様にどういう体験をさせ、どうやってお金を頂くか」。
その設計図(ビジネスモデル)が決まれば、UIはおのずと一つに決まるはずです。
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記事を書いた人


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tech leadかねやん | 金岡潤
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「システムも野菜も、鮮度が命。」
元メガ企業のSEとして、大規模サービスのバックエンド開発・アーキテクチャ設計に従事。その後、福岡に移住し起業。「八百屋」を地域No1にするという異色の経歴を持つ。 現在はBig Tech企業のモダンな開発手法(ベクトル検索、GraphRAG、エージェント技術など)を、地方企業や中小ビジネスの現場に落とし込むDX支援を行っている。 技術の複雑さを感じさせない設計、ビジネスの成果(CX)に直結させる「翻訳者」としてテックリードを担っている。


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