「来月の売上着地見込み、過去のトレンドから予測してグラフで作っといて」と無茶ぶりされたら
金曜日の夕方、こんなことがおこったら、あなたはどうしますか?
これまでは、Excelと格闘するか、社内のエンジニアに頭を下げてSQLを書いてもらうしかありませんでした。
しかし、今は違います。 Google Cloud (BigQuery) に実装された新機能 「Gemini in BigQuery (Data Canvas)」 を使えば、Pythonのコードを1行も書かずに、ものの数分でこのタスクが完了します。
「文系だからプログラミングは無理」 その常識は、今日で捨ててください。
本記事では、実際にBigQueryの画面を見ながら、AIに命令するだけで高度な「売上予測モデル」を作る手順を実況解説します。
第1章:準備は「データを選ぶ」だけ
今回使用するのは、BigQueryの新インターフェース 「データキャンバス (Data Canvas)」 です。
これは、チャットAI(Gemini)と、データ分析ツール(Notebook)が合体したような、夢の作業スペースです。
Step 1: キャンバスを開く
BigQueryのコンソールを開き、上部のメニューから「データキャンバスを作成」をクリックします。
Step 2: データを探す
「検索バー」のようなところに、自然言語でこう入力します。
「過去1年間の店舗ごとの売上データを探して」
すると、Geminiがプロジェクト内のテーブルを検索し、「これですか?」と候補(例: sales_transaction_log)を提示してくれます。 「キャンバスに追加」をクリックすれば、準備完了です。
第2章:【実践】自然言語でPythonを書かせる
ここからが魔法の時間です。
キャンバス上に配置されたデータブロックの下に、チャット入力欄があります。
Step 3: 分析を依頼する
プロンプト(命令)として、以下のように入力します。
「このデータを使って、日別の売上推移を可視化して。また、そのトレンドを基に、来月(30日間)の売上を予測するPythonコードを書いて実行してください」
普通のエンジニアなら、ここで「えっ、Python環境の構築は? ライブラリのインストールは?」と焦るところです。 しかし、BigQueryの中ではすべてがサーバーレスで完結します。
そうです、聞きたいことの問いを投げかけるだけ。
Step 4: 生成されたものを見る
数秒後、Geminiは以下の2つをアウトプットします。
- Pythonコード:
pandasでデータを整形し、scikit-learnやstatsmodels(予測ライブラリ)を使ってモデルを構築するコードが、自動生成されます。
- 実行結果(グラフ):
- そのコードが裏側で即座に実行され、「過去の実績(青線)」と「来月の予測(点線)」がきれいに描画されたグラフが表示されます。
所要時間、約3分。
あなたはキーボードで日本語を入力しただけです。import pandas as pd すら書いていません。
第3章:なぜ、これが「革命」なのか?
「すごいけど、Excelでも近似曲線くらい引けるよ」と思った方。 Geminiの凄さは、ここからです。
1. 「なぜ?」に答えてくれる
グラフを見て、売上が落ちている時期があったとします。 続けてGeminiにこう聞けます。
「2月に売上が落ち込んでいる原因になりそうな要因を、商品カテゴリ別の内訳から分析して」
すると、Geminiは追加のSQLを書き、
ドリルダウン分析を行い、「天候不順による『夏野菜』の販売不振が要因のようです」といったインサイト(考察)までテキストで返してくれます。
2. コードが「資産」として残る
Excelの操作履歴は残りませんが、Geminiが生成したPythonコードやSQLは、すべて「ノートブック」として保存されます。 つまり、来月同じ分析をする時は、再生ボタンを1回押すだけです。
3. データが外に出ない(セキュリティ)
ChatGPTにCSVをアップロードするのは情報漏洩のリスクがありますが、これはGoogle Cloudの強固なセキュリティ環境内(VPC内)で完結しています。データは一歩も外に出ません。
第4章:エンジニアの役割が変わる
このように、「データの集計・可視化・予測」という作業は、もはやエンジニアの仕事ではなくなりました。
これからのデータエンジニア(CxxxPJのようなTech Leadの中でもデータ活用の分野では)の役割は、以下のようにシフトします。
- Before: 「グラフを作ってあげる人」
- After: 「Geminiが正しく分析できるように、綺麗なデータを整備する人(データエンジニアリング)」
AIは魔法使いですが、ゴミデータ(欠損だらけのデータ)を与えても、ゴミしか生み出しません。
「AIが読みやすいデータ基盤(データウェアハウス)」を構築することこそが、企業の競争力を左右する時代になったのです。
まとめ:あなたは「現場監督」になれ
「Gemini in BigQuery」は、あなたに「10人の優秀なデータサイエンティスト」を部下として与えてくれるようなものです。
彼らは文句も言わず、24時間365日、Pythonを書き続けてくれます。
必要なのは、あなたが「現場監督」として的確な指示(プロンプト)である問いを出すことだけ。
- 「もっと深く掘り下げて」
- 「別の角度から見て」
- 「わかりやすく要約して」
さあ、心配することはありません。
今すぐBigQueryを開き、最初の指示を出してみてください。 その瞬間から、あなたはもう「データ分析ができるビジネスパーソン」です。


記事を書いた人


AI参謀GAくん | じーえーくん
tech leadかねやん | 金岡潤
+α
「システムも野菜も、鮮度が命。」
元メガ企業のSEとして、大規模サービスのバックエンド開発・アーキテクチャ設計に従事。その後、福岡に移住し起業。「八百屋」を地域No1にするという異色の経歴を持つ。 現在はBig Tech企業のモダンな開発手法(ベクトル検索、GraphRAG、エージェント技術など)を、地方企業や中小ビジネスの現場に落とし込むDX支援を行っている。 技術の複雑さを感じさせない設計、ビジネスの成果(CX)に直結させる「翻訳者」としてテックリードを担っている。
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